アスベスト除去の難しさ
アスベストはその性格上空気上に飛散した場合には非常に危険な物質となります。しかし太さは0.02ミクロン、髪の毛の5000万分の1と言う細さのため、専門家以外の者がアスベストに触れた場合には誤って空中に飛散させてしまうことがあります。
飛散したアスベストは呼吸とともに人間の肺に侵入します。肺は気管支の奥にあり、大きさ約200~300μmの球形をしています。ここに綿や紙などと言った天然由来の物質が入り込んでもマクロファージの作用によっていずれ分解されてしまいますが、アスベストの場合にはマクロファージが取り囲むものの、今度は逆にマクロファージの方が死滅してしまいます。そのためアスベストは分解されず蓄積していくことになります。
作業場や工場などの換気が行き届いていなかったり、適切な防護服を着用していなかった場合、アスベストは容赦なく人体に侵入し、長期間に渡って蓄積されることで塵肺や悪性中皮腫などと言う難病を引き起こすのです。
またアスベストを扱う工場の周辺で生活を営んでいる住民にとってもアスベストによる汚染は深刻な悪影響を及ぼします。
日本では2000年以降になって多くの企業がアスベストによる被害を発表しており、特に2005年のニチアス・クボタによるアスベスト事故の被害は従業員のみならず家族にまで被害が及んだことで大きな社会問題となり、同年厚生労働省からは肺癌や悪性中皮腫による労災指定を受けた事業所を発表するまでに至りました。
こうした状況を背景に、アスベストの除去作業は一気に加速して行われるようになりました。しかし高度経済成長期に使用されたアスベストの量はあまりにも多く、また使用目的も多岐に渡っているため、除去作業は遅々として進まず特に民間の施設の場合はまだまだ圧倒的な量のアスベストが除去されること無く放置されているという状況です。